平成25年7月25日発行

今回は相続に関する手続きとして、「一般的手続きと具体的実務手続き」について説明します。

3.相続に関する手続

1)取り急ぎ必要な手続

  1. 死亡届の提出(死亡後7日以内に市区町村役場へ)
  2. 火葬・埋葬許可の申請(死亡届と同時に市区町村役場へ)
  3. 年金受給権者死亡届(14日以内に年金事務所へ)
  4. 遺族年金の受給権請求手続き(速やかに年金事務所へ)
  5. 公共料金の契約名義変更手続き(速やかに電気、ガスなど各事業体窓口へ)
  6. 健康保険証の返却手続き(速やかに市区町村役場又は健保組合)
  7. 生命保険金の請求手続き(速やかに契約している生保会社へ)

  *1、2は葬儀社が代行するケースが多い。

2)相続に必要な一般的手続

  1. 相続人の確定
    • 遺言者があるかどうか確認します。
    • 遺言書がなければ戸籍をたどって相続人を確定します。
  2. 相続財産の確定
    • 遺産の主だったものを調べ財産目録を作成します。
    • 負の財産(借金や保証債務)も相続財産になります。
  3. 相続財産の評価
    • 評価の基準としては「財産評価基本通達」があり、不動産は「路線価」「固定資産税評価額」などがあります。
    • 株式については、証券取引所の値段を参考に相続人の合意で決めます。
  4. 相続の承認・放棄
    • 単純承認、限定承認、相続放棄に関し、限定承認及び相続放棄は相続の開始を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述書を提出します。
    • 相続放棄は各人が個別にできますが、限定承認は相続人全員で連名の申述書を提出します。
  5. 遺産分割協議書の作成
    • 単純承認・限定承認の場合、遺産分割協議書を作成します。相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります。
    • 相続税が発生する場合は、10カ月以内に分割する必要があります。
  6. 所得税の準確定申告書の提出
    • 相続があることを知ったときから4カ月以内に税務署に準確定申告をします。
  7. 相続税の支払い
    • 基礎控除を超える遺産があるときは、税務署へ相続税の申告が必要となります。

3)相続の具体的諸手続き

  1. 遺言書がある場合
    • 封印のある封書入りの遺言書は家庭裁判所で開封し、検認が必要となります。
    • 封印のない封書入りの遺言書はすぐに開封してもよいが、検認が必要となります。
    • 公正証書遺言はすぐに開封してもよく、検認は不要となります。
  2. 銀行が名義人の死亡を知れば預金口座が凍結
    • 凍結後に払戻しや名義変更をする場合は、被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続した戸籍・除籍謄本)、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の実印及び印鑑証明書(相続届に署名捺印)が必要となります。
    • 銀行が死亡を確認するまでは、被相続人の通帳と印鑑あるいはキャッシュカードで相続人が引き出しているケースもあります。(預金自体は死亡により相続人のものになってます)

    *用語の説明

    準確定申告とは
    被相続人が死亡した場合、故人は確定申告が出来ませんので、相続人が代わって確定申告をしなければなりません。これを「準確定申告」といいます
    検認とは
    検認とは家庭裁判所の係官が立ち会って、相続人全員の前で遺言書の中身をあらためることです。遺産の名義変更をする際、検認済証明書を添付する必要があります。
  3. 相続財産の確認
    • 不動産(家や土地)・・・権利証あるいは登記識別情報の確認
    • 銀行預金・・・預金通帳、残高確認書等を確認
    • 株式、国債・・・取引報告書、残高報告書の確認
    • 生命保険金・・・保険証書、保険料払込通知書の確認
    • 自動車・・・現物、車検証の確認
    • 債権・・・金銭消費貸借契約書の確認
    • 借地、借家・・・賃貸借契約書、借地権、借家権の確認
    • 借入金・・・借用証、金銭消費貸借契約書の確認
    • 宝飾品、書画骨董・・・現物確認

    「一口アドバイス」
     未登記物件があれば、名寄帳、固定資産税の課税通知書で確認します。
     同一銀行に通帳はないが、別の口座があると思うときは、名寄せを依頼します。(申請者の戸籍謄本、免許証、被相続人の戸籍謄本が必要)
     上場株式は2009年1月以降、電子情報となり、信託銀行などの「特別口座」にあります。 
     生命保険金は受取人を指定している場合は、相続財産になりませんが、受取人が死亡すると、保険金請求権が受取人の相続人に相続されます。

  4. 遺族厚生年金の裁定請求
    • 年金事務所に「遺族給付裁定請求書」「年金受給者死亡届」「年金手帳」「戸籍謄本」「住民票(夫と妻の2枚)」、持参します。老齢厚生年金の報酬比例部分の約4分の3が遺族厚生年金となります。
    • 国民年金加入の自営業者などの場合は、市区町村役場で手続きをします。
  5. 相続人の確定
    • 相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍をとる必要があります。
    • 戸籍謄本、改製原戸籍謄本、除籍謄本等が必要となります。一般的には、出生により親の戸籍に入り、婚姻により新戸籍を編成します。
    • 戸籍は筆頭者と本籍地で確認できますが、現在の住所と同じではない場合がありますので、本籍地入りの住民票をとれば本籍をみつけることができます。
      また、転居が多い場合は戸籍の附票をとれば、住所の経緯を知ることができます。

*用語の説明

除籍謄本、改製原戸籍謄本とは
除籍謄本とは、戸籍に記載された構成員全員が、いなくなったため、除籍簿に移された戸籍をいい、改製原戸籍謄本とは、法令等の改正により、戸籍の様式を改めて書き換えることとなったとき、そのもととなった戸籍のことです。
戸籍の附票とは
戸籍と住所を関連づけ住所の変遷「住所の移転履歴」が記録されている書類です。

次号は相続に関する手続きとして、「遺産分割協議」について説明します。