平成25年6月25日発行

今回は遺言の基本知識として、「相続財産に関する法律上の制度」」について説明します。

9)相続財産の分配に関する法律上の制度

相続財産は、遺言書を書く人の財産ですから、本来は自分の自由意思で配分を決めることができます。しかし、残された相続人にとっては大変不利益となる可能性もあります。また、生前に多額の財産を譲り受けた相続人がいる場合には、その分を考慮しないと他の相続人との間で不公平感が生じてしまいます。このような問題を調整するための制度として、遺留分・特別受益の持戻し・寄与分制度があります。遺言を書く場合には、このような制度にも配慮することで、遺言をめぐる争いを可能な限り防ぐことができます。

①遺留分

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に、相続財産のうち法律上留保されることが保障された割合のことです。遺留分の権利を有する相続人は、遺留分減殺請求の手続きにより、一定割合の財産を確保することができます。相続人の遺留分を無視して、特定の相続人に財産の全部を相続させる遺言をしても、遺言自体は無効になりませんが、遺留分減殺請求をとられるおそれがあります。
民法が定める遺留分の割合は、
 ⅰ)直系尊属のみが相続人である場合は、相続財産の3分の1
 ⅱ)上記以外の場合は、相続財産の2分の1
ⅰ)、ⅱ)の割合に、各相続人の法定相続分を掛けた割合が各相続人の確保できる割合となります。

②特別受益の持戻し

特別受益の持戻しとは、共同相続人中に被相続人の生前に贈与などを受けた相続人がいる場合には、その贈与分については、相続割合を算出する際に戻して計算することです。従って、遺言書を書く際に、その取扱いを明確に記載しておけば、紛争防止に役立ちます。

③寄与分

寄与分とは、財産の維持又は増加に特別の協力をした相続人には、寄与した部分を法定相続分に上乗せして、相続分を算出する制度です。従って、遺言書に寄与分を考慮して財産を相続させていることが、明らかになるような記載が望ましいと思われます。

次号より、相続に関する手続きとして、一般的手続き・具体的実務手続き・遺産分割協議・相続税を説明します。