平成25年5月25日発行
今回は遺言の基本知識として、「遺言書の内容の実現・相続財産」について説明します。
7)遺言書の内容の実現(遺言の執行)
- 遺言内容を実現するには、誰かが不動産の所有権移転登記や預貯金の名義変更等を行わなければなりません。このように遺言の内容を実現することを遺言の執行といいます。
- 不動産について、「相続させる」と記載されている場合は、相続人は単独で所有権移転登記をすることができます。「遺贈する」と記載されている場合は、相続人全員が共同で手続きを行う必要があります。
- 預貯金については、預貯金を解約して払い戻しを受けるか、名義変更する手続きが必要となります。各金融機関によって手続きは異なりますが、相続人全員の署名押印(実印・印鑑証明書)を要求してくるケースも見られます。
- 遺言の執行は相続人自身で行うことができますが、相続人全員が共同して手続きを求められることもあります。相続人が多ければ手間がかかりますし、手続きに協力してくれない場合もあります。そこで、遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、遺言執行者と遺贈をうけた人だけで手続きをすることができます。遺言執行者が相続人又は受遺者と同じであれば、単独で手続きできます。
- 遺言執行者は、相続人の代理人とみなされ、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利・義務を有しています。
- 遺言執行者は、未成年者及び破産者を除き、誰でもなることができ、相続人や受遺者もなることができます。
- 法律上、遺言執行者が必要とされるケースとして、遺言によって子を認知する場合及び推定相続人を廃除する場合があります。
*用語の説明
- 相続人廃除とは、被相続人が推定相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱けたりしたとき、またはその他の著しい非行が推定相続人にあったときに、家庭裁判所に請求して相続人の資格を奪う制度です。
(民法892条)
(相続人の意志によって相続権を奪う制度)
「一口アドバイス」
良い遺言書を作るには①相続財産を正確に把握する②遺留分等の法律上の制度に留意する③疑問点が残らないよう、明確に書くことが、大切です。
8)相続財産
- 主な相続財産
- 土地建物などの不動産
- 現金、預貯金
- ゴルフ会員権、株券等の有価証券
- 自動車、美術品
- 賃借権(土地や建物を借りることができる権利)
- 債権(貸金等があるときの権利)
- 債務(借入金など)
- その他の相続財産
- 保険金
生命保険金は、相続人が受取人として指定されている場合には、相続財産に含まれず、相続人の固有財産となります。 - 死亡退職金
法律、退職金規程の定めにより結論が異なります。相続人が受給権者となっている場合は、相続財産に含まれず、相続人の固有財産になります。
尚、民法上は相続財産にならなくても、相続税法上はみなし相続財産として、課税対象になります。 - 祭祀財産
お墓、仏壇などの祭祀財産は相続財産に含まれず、承継人は、慣習や遺言の指定で決まることになります。
次号は遺言の基本知識として、「相続財産に関する法律上の制度」について説明します。
