平成25年4月25日発行

今回は遺言の基本知識として、「任意後見と遺言・遺言の種類」について説明します。

5)任意後見と遺言(生前の財産管理と死後の財産管理)

  1. 認知症などにより判断能力が欠ける状態が続いた場合、親族等の請求に基づき、家庭裁判所により療養看護と財産管理を行う成年後見人が選任され、以後成年後見人が財産を管理することになります。(法定後見制度)しかし、誰が法定後見人に選任されるか分からないし、本人の意思が十分に尊重されないおそれもあります。そこで、判断能力があるうちに、判断能力が不十分になった以降の財産管理等を委ねる契約(任意後見契約)を締結する制度があります。(任意後見制度)
  2. 任意後見契約は、判断能力が不十分になるまで効力が発生しませので、それまでの間、財産管理を委ね、判断能力が不十分になった場合に任意後見契約に移行する財産管理契約(移行型)を締結することもできます。
  3. 任意後見契約は、公正証書以外での作成は認められていませんので、最近は、公正証書遺言を作成する際、財産管理契約及び任意後見契約をあわせて作成することが多くなっています。
  4. 自分の介護をしてくれる人と任意後見契約を締結しておき、判断能力低下後の財産管理や介護サービスの手配等を依頼するとともに、死亡した場合には、その人に相当の財産を遺贈する内容の遺言をしておき、その人の労に報いる方法を決めておけば、介護等をする人も安心して介護できます。

6)遺言の種類

普通方式の遺言には、①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言の3種類があります。
  ①自筆証書遺言は、遺言者が、遺言の内容を自筆で書面にし、署名・押印することにより作成する遺言書です。
  ②公正証書遺言は、公証人が法律で定められた方式に従って作成する遺言書です。
  ③秘密証書遺言は、ほとんど利用されていませんので、省略します。

(自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリット)

  1. 自筆証書遺言のメリット
    • 自分1人で簡単に作成できる
    • 費用がかからない
    • 遺言書の存在と内容を秘密にできる
  2. 自筆証書遺言のデメリット
    • 厳格な方式に不備があり、無効になるおそれがある
    • 相続人間で遺言能力等が問題となるおそれがある
    • 紛失や改ざんのおそれがある
    • 遺言書が発見されないおそれがある
    • 家庭裁判所での検認手続きが必要となる
  3. 公正証書遺言のメリット
    • 方式の不備で無効となるおそれがない
    • 遺言能力等で争われるおそれが低い
    • 紛失や改ざんのおそれがない
    • 相続人が遺言の存在を公証役場で確認できる
    • 家庭裁判所での検認が不要
  4. 公正証書遺言のデメリット
    • 公証人に依頼や2人の証人確保で手間がかかる
    • 公証人への作成手数料がかかる
    • 公証人と証人に内容を知られる

(選ぶポイント)

  1. 自筆証書遺言は簡便さが、公正証書遺言は確実性が一番のメリットであり、どちらを重視するかで選ぶことになります。
  2. 公正書書遺言は手間がかかりますが、専門家(行政書士・弁護士等)に依頼すれば、ほとんどの手続きをして貰えます。遺言者が病気等で動けない場合は、公証人に自宅や病院に出張してもらうこともできます。
  3. 自筆証書遺言は検認の際、申立書、被相続人の生涯戸籍及び相続人全員の戸籍謄本等の収集等手間もかかりますので、費用はかかりますが、公正証書遺言の方が望ましいと云えます。

*用語の説明

検認手続とは
検認手続きとは、遺言書の「偽造・変造・改ざん・紛失」などを防止するために必要な手続きのことで、家庭裁判所の裁判官が相続人全員立会いのもとで遺言書を開封し、筆跡などの確認をすることとなります。(相続人に遺言の存在及びその内容を知らせる)

次号は遺言の基本知識として、「任意後見と遺言・遺言の種類」について説明します。