平成25年3月25日発行

今回は遺言の基本知識として、「遺言書の重要性・遺言の効能・遺言を書く時期・遺言の変更」について説明します。

2.遺言の基本知識

1)遺言書の重要性

①なぜ遺言が必要か

遺言がない場合、遺産分割協議が終了するまで、相続財産は、相続人全員の共有ですので、相続人単独で相続財産を処分することはできません。不動産や株式の名義替えや売却もできないし、預貯金口座が凍結されますので、相続人全員の同意書がない限り、銀行は払戻しの請求に応じてくれません。遺言書があれば、遺言書に従って、速やかに財産の相続ができますので、残された家族にとっては大変ありがたいものになります。
遺言をしないで亡くなった場合、遺産分割協議で骨肉の争いになるおそれがあります。また、遺言があれば、あなたの家族や大事な人にあなたの意思どおりに財産を渡すことができます。
どのような遺言を遺すか考えることは、本当に大事な人は誰か、本当にお世話になった人は誰か等を真剣に考える良い機会を与えてくれます。

②遺言書があればあなたの意思が叶えられる

  1. 相続人以外に財産を遺したい
    • 内縁の妻に財産を遺したい
    • 配偶者の連れ子に財産を遺したい
    • 孫に財産を遺したい
    • 世話をしてくれた人に財産を遺したい
  2. 定相続分とは異なる財産を遺したい
    • 妻に全財産を遺したい
    • 特定の相続人に財産を遺したい
  3. 慈善事業等に寄付したい
    • 公益法人等に寄付したい
    • 母校、福祉団体等に寄付したい
  4. 財産に関する以外の事について伝えたい
    • 葬儀や埋葬方法について伝えたい
    • 相続に関する思いや家族への感謝の言葉を遺したい

2)遺言の効能

①遺言でできること

  • 法定相続分と異なる相続分を定めたり、遺産分割の方法を指定したりすること
  • 法定相続人以外の人への遺贈や慈善団体への寄付
  • 婚姻外の子供の認知や未成年の子について後見人の指定
  • 遺言執行者の指定

②遺言でできないこと

  • 結婚、離婚、養子縁組、離縁のような双方の合意が必要な身分関係
  • 債務の分割方法の指定(特定の相続人に債務負担させることを定めても、債権者に対しては主張できない)

その他家族への希望があれば、法的拘束力はなくても書いておいた方が相続人にとって好ましいと思われます。(感謝の言葉、子供への遺訓、葬儀についてなど)

3)遺言を書く時期

  1. 遺言が有効となるためには、遺言能力(意思能力)が必要であり、もし認知症などでこの意思能力がなければ、有効な遺言書とはみなされません。従って、遺言書はできるだけ心身ともに健康であるときに作成しておくべきです。
  2. 民法では、20歳で成年とし、未成年者が契約などをするときは、法定代理人(一般的には両親)の同意が必要とされますが、遺言については、満15歳になれば、法定代理人の同意を得なくても有効な遺言ができるとされています。

4)遺言の変更

  1. 遺言書を作成しても、いつでもこれを取消撤回することができます。前の遺言が後の遺言と抵触するときは、抵触する部分については、後の遺言が有効になります。
  2. 遺言を書いた後で財産を処分する必要が出てきた場合、財産を処分することはできます。その結果、相続人への財産分与のバランスを欠くことになる場合は、遺言書を作り直すことが望ましいと思います。

次号は遺言の基本知識として、「任意後見と遺言・遺言の種類」について説明します。